こんな本はどうですか?-評論文編
2007年12月25日
先月号では、入試問題によく出題される小説を紹介しました。受験勉強のためではなく、数多くある本の中から選ぶ物差しの一つになればと思い、出題頻度が高い作品を取り上げたわけです。さっそく購入されたというお母さんたちの声も少なからず耳にしました。やはり読書については、多くのご家庭が切実な問題として捉えているのですね。
さて、今月は同様の趣旨で評論文を取り上げてみます。評論文のテーマの中でも、言語論、(比較)文化論、読書論、人生論などは流行を問わず毎年入試問題に散見されます。その一方、世相に敏感なのも入試の特徴で、例えば環境問題に関連する内容は昨今の入試で比較的頻度が高いと言えます。また、ベストセラー本に対する反応も素早いもので、一時期は「バカの壁」や著者の養老孟司の他の著作が目立ったものです。今年の入試問題を見渡してみると、若年層に直接語りかける形式の人生論や哲学論が多く見受けられます。やはり、若者が自他を問わずいのちを軽んじる傾向にある現代日本社会の問題を、教育現場も重く捉えてるということでしょう。先日の教育講演会で張江先生が推薦された、池田晶子著「14歳からの哲学-考えるための教科書」もこの形式に属する著作です。「14歳の君へ-どう考えどう生きるか」も同様です。同著者の入試出題著作は、「勝っても負けても」(立教新座中学)、「知ることより考えること」(筑波中学)などがあります。

この相談は毎年多くのご父母からいただきます。現地校在籍で日常日本語に触れる時間が少ない、子ども自ら本を手にすることが少ない、または国語の文章題が大の苦手など、理由は様々です。そうはいっても、教養のたしなみとして近代純文学などを読ませたいわけではなく、活字離れが加速する昨今、何とか子どもを文字に繋ぎ止めたいという切実な望みがあるのでしょう。しかし、星の数ほどある本の中で何を手に取るべきかという段になると簡単な話ではなく、選ぶ基準のようなものが欲しいということになるわけです。



